口ゴボ(口元が出ている)を矯正治療で治したい方へ
「横顔の下半分が前に出てしまっている」
「口が閉じにくくてお口呼吸になってしまう」
などでお悩みであれば、”口ゴボ”と呼ばれる状態かもしれません。
口元が出ている”口ゴボ”というワードはネットやSNSでも最近目にする機会が増えており、多くの方が悩まれていることが伺えます。
目や鼻と同じように口元は第一印象を左右する大事なパーツですが、口ゴボをメイクでカバーするには限界があり、自力で改善するにはなかなか難しいところです。
ですが、実は美容整形をしなくても歯の矯正治療だけで口ゴボを改善ができ、お顔の印象が大幅にアップすることも珍しくありません。
そこで今回はそんな気になる口ゴボについて矯正専門の歯科医師がご説明します。
口ゴボの症状と原因について
まずは口ゴボの症状や原因について確認してみましょう。
口ゴボとは?
口ゴボとはお口を閉じたときに上下の口唇が前に出てしまい、口元がモッコリと膨らんでしまう状態を指します。
実は”口ゴボ”は専門用語ではないため明確な定義はありませんが、”上下顎前突”というのが専門用語としては近いと思われます。
専門的な判断評価の一つとして、横顔で鼻とオトガイを結んだEラインという線に対して上下の唇が大きく前に超えてしまっている方が該当します。
また、お口を閉じたときオトガイに梅干しのようなシワができてしまうことが特徴的です。
口ゴボの原因は?
口ゴボは原因は大まかに以下のタイプの単独か組み合わさって起こることが考えられます。
前歯が大きく傾いているタイプ
前歯が外側に大きく傾いていることで、その外側に位置する上下の唇が前に押しやられてしまっている状態です。
上下の顎の骨自体が前に出ているタイプ
遺伝的に上と下の顎の骨自体が他の骨と比較して、前に位置していることで口ゴボを生じている場合があります。
口呼吸との関連があるタイプ
本来、正しい呼吸法である鼻呼吸ではなく口呼吸によって口ゴボが生じやすい状態になります。
歯は頬・舌・口輪筋などの筋肉によって囲まれており、口呼吸によってこの筋肉が正常に機能しない場合には前歯が外側に傾きやすくなってしまうのです。
また、それによって口が閉じづらくなると更に口呼吸の改善が難しくなり悪循環に陥りやすい状態となります。
鼻が低い、オトガイが後退しているタイプ
日本人は鼻が低くオトガイが後退しやすい骨格です。
白人と比べてEライン自体が後ろに位置しやすくなることで、唇がEラインより前に出やすくなります。
また、唇の厚みも大きく関係している場合があります。
口ゴボが引き起こす問題
口ゴボは見た目だけでなくお口のトラブルや健康面にも影響を及ぼしてしまう可能性があります。
口ゴボによる問題はどんなものがあるのでしょうか。
見た目のコンプレックス
口ゴボで悩まれている方の中には、横顔から他人に見られることを気にされたり、マスクをして口元を隠してしまう方もいらっしゃいます。
日常的にコンプレックスを抱えた状態では精神的なストレスになりかねません。
口呼吸による虫歯など口内環境の悪化、口臭、前歯の着色
口ゴボの人は口をうまく閉じることができません。
常に口が開いた状態になるので口の中が乾燥し、唾液の働きが低下して虫歯や歯周病の原因菌や汚れを洗い流すことができなくなってしまいます。
これにより、虫歯、口臭、前歯の着色が起こりやすくなります。
毎日しっかりと歯磨きをしているはずなのにお口のトラブルが出てしまう場合には、口ゴボによって口呼吸が引き起こされていることが原因かもしれません。
口呼吸により風邪などウイルス性の病気になりやすい
口ゴボによる口呼吸の影響は全身にも影響がでる場合があります。
鼻呼吸と比べて、口呼吸は体内に空気中のほこりや細菌やウイルスが体内へ侵入しやすくなりますので、人によっては風邪やインフルエンザなどにかかりやすい場合も。
口ゴボが直接病気を引き起こすわけではありませんが、口呼吸によってウイルスなどの病気にかかるリスクがより高まってしまうのです。
口ゴボを改善することは、こうした病気のリスクを減らすことにも繋がると考えられます。
体の歪み
不正咬合全般にいえることですが、噛み合わせが悪いと体全体のバランスが歪んでしまうリスクもあります。
左右のバランスが悪いと、片側に強く重心をかけることで筋肉が緊張し、肩こりや頭痛などの症状がでてくることも考えられます。
口ゴボの矯正治療と費用の内訳について
ここでは口ゴボの矯正治療と費用の内訳についてみていきましょう。
歯の矯正治療
前歯が外側に傾いていることが原因の口ゴボには歯列矯正が効果的です。
歯列矯正であれば見た目だけでなくかみ合わせも同時に改善されるので、口ゴボを気にされている方はまずは歯列矯正を検討してみてはいかがでしょうか?
大きく改善するためには、小臼歯を抜いてできた隙間を利用して前歯を大きく動かす必要がありますし、より良い治療結果を得るのであれば歯科矯正用アンカースクリューという
器具の使用も提案されることもあるかもしれません。軽度の状態であれば、歯を抜かずに治療する場合もあります。
治療期間は2年~3年程度で、通院頻度は1~2か月に一回です。
歯列矯正は専門的な技術と知識が求められますので、お近くの専門のクリニックで相談することをおすすめします。
顎の骨自体が大きく前に位置している口ゴボの場合、歯列矯正だけでは改善が難しいと予想される場合には外科手術が有効ですが、入院が必要になります。
口ゴボの矯正治療費は?費用の内訳と医療費控除について
通常の口ゴボの矯正治療は保険適用外です。
別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常や顎変形症に限り、保険適応となります。
それでは、治療の段階別にかかる費用をみてみましょう。
治療前にかかる費用:0〜6万円程度
治療の前に初診相談と精密検査を受けることが一般的です。
初診相談後に、治療に進む予定であればレントゲン撮影やCT、骨格や噛み合わせの検査を行います。
当院は初回相談の費用が無料ですので、お気軽に一度ご相談ください。
治療中の費用:80~120万円程度
治療に用いる器具の種類によって費用が異なり、マウスピースや舌側矯正(リンガル矯正)は高額になりやすい傾向です。
また、表側の装置でも白いブラケットやワイヤーにするのかによって費用が異なる場合があります。
歯科医師とよく相談して、生活スタイルやご自身の歯並びの適応かどうかを考慮して決定するとよいでしょう。
矯正器具を装着したあとは、歯の移動に合わせて調整のために1ヶ月に1回の通院が必要です。
クリニックによって料金体系が異なり、毎回の処置料が提示された治療費に含まれているのか、その都度費用がかかるのか確認しておきましょう。
治療後にかかる費用:1万円〜10万円
矯正器具を外した後も、保定装置(リテーナー装置)の使用と半年に1回程度の定期的な通院が必要です。
別途で保定装置代や通院の費用が追加で発生するのか、最初に提示された矯正料金に含まれるのか確認しましょう。
医療費控除について
1月1日から12月31日までの間に、配偶者や子供などの同一家族(生計を一にする親族)の医療費が10万円を超えた場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。
治療にかかった明細を確定申告時に提出することで、医療控除が適用されます。
所得やその他の控除の状況によって異なりますので詳しくはお近くの税務署にお問い合わせください。
まとめ
整形手術まではしたくないけれど、口元の印象をキレイに整えたい方には歯の矯正治療を考えてみてはいかがでしょうか?
まずは一度、矯正専門のクリニックでの相談がおすすめです。
Check Point
■口ゴボの原因は前歯の傾きや顎骨の位置のズレなどによって引き起こされる。
■口ゴボは見た目の問題だけでなく、口呼吸との関連がある。
■口ゴボに関しては一度、歯列矯正専門のクリニックで矯正相談するとよい。
■口ゴボは抜歯の可能性が高く、歯列矯正のみでの治療が難しい場合は外科手術が必要となる。
■口ゴボの治療期間は2~3年程度、通院頻度は1~2か月に一回
■費用の相場は大人の矯正で80~120万円