金属アレルギーでも矯正は大丈夫?症状や対応を歯科医師が解説!

 

ピアスやネックレスなどの金属に触れた部分の皮膚がかぶれたり、赤くなる症状がでる金属アレルギー

アクセサリーだけでなく、歯科治療で使われる金属によりアレルギー反応を起こして全身に症状がでてしまうケースも報告されています。

近年、金属アレルギーの方は増加傾向にあり、その予備軍も含め日本人の12人に1人が該当すると推測されています。

当院の矯正相談でも金属アレルギーをお持ちの方、または疑いのある方が矯正治療に影響がないか心配されていることも決して珍しいものではありません。

ここでは矯正治療に関連した金属アレルギーの仕組みや症状、対処法について解説します。

 

金属アレルギーの仕組みと症状について

まずは金属アレルギーの仕組みや症状についてみていきましょう。

 

金属アレルギーはなぜ起こる?


私たちの体にはウイルスや細菌などの害があるものに対して、体を守る「免疫」という働きがあります。

しかし、この免疫が本来は無害であるはずのものにも過剰に反応してしまうことがあり、これを「アレルギー反応」と呼びます。

アレルギー反応は大きく分けてⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型の4つに分けられ、歯科金属に関連する金属アレルギーはⅣ型に該当します。

アクセサリーや歯科で使われる金属が汗や唾液によってイオン化して溶け出し、細胞にくっつくことでアレルギーの原因となる物質(抗原)となり、これに対して体の中にあるT細胞がサイトカインと呼ばれる炎症物質を作り生じます。

Ⅳ型アレルギーは24~72時間かけて症状が出るために遅延型アレルギーとも呼ばれております。

金属アレルギー反応はがもともとなかった人でも、金属の蓄積により治療の途中で突然発症してしまう可能性もあります。

ちなみに、皆さんがよく耳にするであろう食べ物、花粉、ダニ、ハウスダストなどによるアレルギーはⅠ型アレルギー反応に該当します。

Ⅰ型アレルギーはアレルギーの原因となる物質(抗原)が体の中にあるIgE抗体と反応して、直後から数時間以内という短い時間で症状が出るために即時型反応とも呼ばれています。

このようにアレルギーを引き起こす物質(抗原)の種類によって、症状や発症する時期が異なります。

 

金属アレルギーを発症した場合の症状


金属アレルギーの症状は大きく分けて「接触皮膚炎」「全身型金属アレルギー」の2つに分けられます。

金属に触れた箇所に炎症が起こる「接触皮膚炎」は、アクセサリーが汗をかいた肌に長時間触れていると起こりやすく、赤くなったりかゆくなる症状がでます。

一方で、歯科金属は「全身型金属アレルギー」の原因の1つで、口の中で溶けだして全身に運ばれることから、口の中だけでなく顔や全身などの様々な部位に症状がみられることが特徴です。

歯科治療に関連した金属アレルギーは、アクセサリーによる金属と比べて発症頻度は少ないといわれていますが、

万が一、発症した場合には口の中からアレルギーとなる原因物質を取り除き、口や全身に出ていた症状が改善するか様子を見ていく必要があります。

症状の完治までに数か月ほど時間がかかる場合もあります。

以下に、歯科金属による「全身型金属アレルギー」の症状をご説明します。

 

口内炎、舌炎

口の周りや顔面に症状が現れます。

口内炎、舌がピリッと痛む、唇が赤く腫れてただれてしまうなどの症状がみられます。

また、炎症が舌の表面にある味の受容体(味蕾)に起こると味覚障害を起こす場合もあります。

 

口唇炎、口角炎

頻繁に唇のまわりが赤くただれてしまったり、口角(口の両端)が赤く切れたりします。

 

頭痛、めまい、肩こり、脱毛

口の中にある歯科金属が頭痛やめまいなどの症状と関連している場合があります。

歯科金属を取り除いたところ、頭痛や脱毛が治まったケースが報告されています。

 

偽アトピー性皮膚炎

全身のさまざまな部位の皮膚に発疹ができるアトピー性皮膚炎に似た症状を示します。

 

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは手のひらや足の裏に膿や水ぶくれが繰り返しできる病気で、かゆみや痛みを伴います。

手と足の他に膝やスネにも皮疹が出ることがあります。

 

汗疱状湿疹

汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)とは手のひらや手の甲、足の裏に、水ぶくれができて皮がむける病気です。

皮がむけた後は、手のひらのカサカサや手荒れの症状が見られます。

 

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金属アレルギーに関連する金属について

汗や唾液に溶け出しやすい、イオン化傾向が高い金属ほど金属アレルギー反応を起こしやすくなります。

逆に溶けだしにくい金属ほど金属アレルギーを起こしにくいと言えます。

 

金属アレルギーを起こしやすい素材


ニッケル(Ni)・コバルト(Co)・スズ(Sn)・パラジウム(Pd)・クロム(Cr)・亜鉛(Zn)・鉄(Fe)・銅(Cu)などは金属アレルギーを起こしやすいと言われています。

特にニッケル(Ni)・コバルト(Co)・スズ(Sn)・パラジウム(Pd)・クロム(Cr)は歯科金属の中でも起こりやすいとされています。

 

金属アレルギーを起こしにくい素材

金(Au)・白金(Pt)・チタン(Ti)が挙げられます。

特にチタンは生体適合性(人体に埋め込まれても無毒で、体液に腐食されず、長時間の使用に耐えうる材料の性質)があり、人工関節やデンタルインプラントにもよく使われています。

しかし、あくまでもアレルギーが起こりにくいものであり、アレルギー症状が出てしまう可能性がゼロというわけではありません。

 

矯正治療で主に使用する金属材料と組成


歯科治療で使用する金属は2種類以上の金属を混ぜ合わせた合金がよく使用されています。

特に、矯正歯科治療に用いられる金属材料にはアレルギーの原因となりやすいニッケルやクロム等が含まれていますが、矯正装置が原因でアレルギー反応を示す報告は稀です。

一般的に使用される矯正器具に含まれる金属の組成の一例を下記に示します。

 

ニッケルチタンワイヤー・・・ニッケル(Ni)、チタン(Ti)

ステンレススチールワイヤー・・・クロム(Cr)ニッケル(Ni)、鉄(Fe)

メタルブラケット・・・クロム(Cr)ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)

バンド・・・クロム(Cr)ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)

 

当院の矯正治療で金属アレルギーの方への対応

当院では金属アレルギーの方に合わせた矯正治療を取り扱っております。

基本的には金属アレルギーの方にはアレルギーを引き起こしやすい金属の使用を避けることです。

心配な場合は、金属を使わない治療法やアレルギーを起こしにくい合金の使用も開発されています。

ここでは当院の金属アレルギーの方に合わせた治療法や器具の選択をご紹介します。

 

マウスピース矯正での治療

マウスピース矯正ってどんなもの

金属を一切使用しない矯正治療の方法ですので、金属アレルギーの方でも安心して治療を受けることができます。

ただし、マウスピースによる矯正治療は取り外しができるために使用時間を守らないと治療が進まなかったり、適応症が限られて歯並びの状態によっては治療が難しい場合もあります。

 

ワイヤー矯正での治療


ワイヤーで治療する場合にはニッケルやクロムの含まれていないチタン製のワイヤーやセラミック製のブラケットを選びます。

また、金属を扱う以上100%アレルギー反応が出ないとは言い切れませんので、ご心配な方には器具の装着を始めは少数のみ使用して経過を観察し、問題が無ければ追加で装着しています。

明らかに金属アレルギーが疑われて矯正治療に不安がある方は、矯正治療開始前に病院で金属パッチテスト(皮膚に金属を含んだ試薬を貼付してアレルギー反応を起こすかどうかを調べる検査)をうけていただき、傾向を把握したうえで使用する器具を慎重に選びます。

 

セラミックブラケットの使用

歯の表面に付けるブラケットを金属製ではなくセラミック製のものを使用します。

色も金属と比べて目立たないので審美性の面でもよいでしょう。

 

金属アレルギーが出やすい素材を含まないブラケットやワイヤーの使用

金属製のブラケットでもニッケルフリーのものがあります。

また、ニッケルチタンワイヤーやステンレスワイヤーの使用が難しい場合には、ニッケルやクロムを含まないβチタンワイヤーが選択されます。

βチタンワイヤーに含まれる金属の組成は以下の通りです。

βチタンワイヤー・・・チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)

しかし、このような器具にもアレルギー反応がでてしまう場合にはマウスピースによる治療を検討する必要があります。

 

まとめ


金属アレルギーは、いつでも誰でも発症しうるものです。

お口の中を清潔に保ち、酸性に傾かないようにすることが金属アレルギーの予防にもつながります。

金属アレルギーの疑いがあり、これから矯正治療を受けられる方は矯正器具の選択肢が多い矯正専門のクリニックにまずは相談してみてはいかがでしょうか?

 

Check Point

■金属アレルギーは24~72時間かけて症状が出る遅延型アレルギー

■歯科治療に関連した金属アレルギーの発症頻度は少ない

■金属アレルギーはお口の中だけでなく、全身にも症状が現れることがある

■金属アレルギーが疑われる場合は、ニッケルやクロムの金属の使用は避ける

■マウスピースによる治療やニッケルの成分が含まれない器具の使用が選択される

■矯正治療開始前に金属パッチテストを行い、アレルギー反応がでやすい金属を避けた治療が好ましい

 

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