ガミースマイル(笑うと歯茎が見える)を矯正治療で治したい方へ

笑った時に上の歯茎が露出てしまう口元の状態を”ガミースマイル”と呼びます。
ガミースマイルをチャーミングと捉えることもできますが、ガミースマイルがコンプレックスと感じて笑顔がぎこちなくなってしまうケースも珍しくはありません。
鼻や目と同様に、笑った時の口元は他の人からの印象を左右する大事な部分ではありますが、ガミースマイルをメイクでカバーするには限界があり自力で治すことは難しいと言えます。
一見、美容整形の手術が必要そうに感じますが、実は歯の矯正治療だけでガミースマイルを改善ができ、口元の印象がアップすることができる場合があります。
今回はそんな気になるガミースマイルの原因や治療法について矯正専門の歯科医師がご説明します。
ガミースマイルの症状と原因について
まずはガミースマイルの症状や原因について確認しましょう。
ガミースマイルとは?

ガミースマイル(gummy smile)とは、文字通り歯茎が見えるスマイルです。
ガミースマイルは男性よりも女性に、老年層より若年層に起こりやすいものとされています。
判断基準の一つとして、フルスマイル(ニッと唇を上げて笑う)の時に、上の前歯の歯茎が3~4mm以上露出することです。
しかし、若干の歯茎の露出は若くて健康に見えますし、唇の位置は加齢によるたるみで下に移動して歯ぐきの見える量は少なくなる傾向にありますので、今すぐガミースマイルは必ずしも治さなければいけなものではありません。
5mm以上の歯茎の露出は重度のガミースマイルに該当するので、見た目が気になるようであれば矯正治療を検討してみてはいかがでしょうか。
ガミースマイルの原因は?
歯茎の露出の原因は様々です。
多くの場合は顎の骨や歯が原因となり、これらが混合してガミースマイルを引き起こすこともあります。
歯や顎の骨に問題があるタイプ

上の前歯が本来の位置よりも下の位置にまで生えていることや、出っ歯によって上唇が引き上げられてしまうことで歯と歯茎が露出しやすくなります。
このような場合は、この後でご説明する矯正治療が有効です。
また、上顎の骨が縦に長いことや上の前歯を支える骨が厚いことでも歯茎が露出しやすくなります。
顎の骨に問題が大きく、矯正治療による改善が困難な場合は外科手術が必要となります。
歯茎に問題があるタイプ

歯茎が原因となる場合は、歯ぐきの過剰な発達によって歯と歯ぐきの境目のラインが通常よりも下に位置してしまうことから起こります。
唇に問題があるタイプ

上の唇自体が縦に短い場合や薄い場合です。
唇が歯茎を覆う距離も短くなりますので露出量が増えてしまいます。
筋肉に問題があるタイプ

上の唇を引き上げる”上唇挙筋”という筋肉の発達が強い場合です。
笑った時やお話したときに過剰に唇が上に引き上げられやすく、歯茎が見えてしまう場合があります。
上唇挙筋の緊張が強い方は笑った時に上の唇が薄くなる傾向にあります。
ガミースマイルが引き起こす問題

ガミースマイルは見た目だけでなくお口の健康にも悪影響を及ぼす場合も考えられます。
見た目のコンプレックス

ガミースマイルで多くの方が一番気になるのは見た目。
笑った時に歯茎が見えてしまい恥ずかしいと感じ、笑顔になるのをためらってしまったり、手で口元を隠してしまう方もいらっしゃいます。
笑顔の機会が減ってしまうのは精神的な影響だけでなく対人関係にも影響を及ぼす可能性があります。
歯周病や口臭のリスク

唇が歯茎を覆われないことで、乾燥してお口が閉じにくくなり細菌が繁殖しやすくなります。
歯茎が”歯肉炎”という赤く腫れぼったい状態になると、歯ブラシをするだけで血が出やすくなります。
また、口腔内の乾燥により口臭が発生する場合もあります。
ガミースマイルの矯正治療と費用の内訳
気になる費用について解説します。
歯の矯正治療

歯並びが原因のガミースマイルには矯正治療が有効です。
歯列矯正であれば見た目だけでなくかみ合わせも同時に改善されるので、ガミースマイルを気にされている方はまずは歯列矯正を検討してみてはいかがでしょうか?
歯並びの状態にもよりますが、治療期間は2年程度で、通院頻度は1~2か月に一回です。
以前は矯正治療でガミースマイルの治療が難しい場合に外科治療が必要となりましたが、
近年、”歯科矯正用アンカースクリュー“の登場により、矯正治療単独での治療が以前よりも行いやすくなりました。
歯科矯正用アンカースクリューによる矯正治療(アンカースクリュー矯正)では、顎の骨に植え込んだスクリューを固定源として、効果的に動かしたい歯を動かすことができます。
ガミースマイルの場合は上の前歯を圧下(上に移動)させて改善を図ります。
アンカースクリュー矯正に関しては下記の記事をご参考下さい。
ガミースマイルの矯正治療費は?費用の相場や内訳について

通常のガミースマイルの矯正治療は保険適用外です。
では、治療の段階別にかかる費用をみてみましょう。
治療前にかかる費用:無料〜6万円程度

矯正治療を開始する前に相談や精密検査を受けます。
相談後に、治療に進む予定であればレントゲン撮影や歯型とりなどの検査を行います。
当院では初回相談の費用が無料ですので、お気軽に一度ご相談ください。
治療中の費用:80~120万円程度

費用は治療に用いる器具の種類によって異なり、舌側矯正(リンガル矯正)やマウスピース矯正は目立たないぶん高額になりやすいです。
歯科矯正用アンカースクリューが必要となる場合は、通常の矯正料金に追加で1本あたり¥5,000~¥35,000の費用が発生することも考えられます。
通常は1ヶ月に1回の頻度で通院が必要です。
治療後にかかる費用:1万円〜10万円

矯正器具を外した後は、後戻りの防止のために保定装置(リテーナー装置)の使用と半年に1回程度の定期的な通院が必要となります。
保定装置代の支払いが別途で必要なのか、それとも治療前に提示された矯正料金に含まれるのか確認しましょう。
まとめ

一つの個性として無理に治す必要はありません。
しかし、コンプレックスと感じるのであれば歯の矯正治療を検討してみてはみてはいかがでしょうか?
まずはお近くの矯正専門のクリニックで相談してみましょう。
Check Point
■ガミースマイルの原因は歯や顎骨の不正、唇の形態、筋肉などによって引き起こされる。
■ガミースマイルは見た目の問題だけでなく、歯肉炎や口臭と関連する場合がある。
■ガミースマイルに関しては一度、歯列矯正専門のクリニックで矯正相談するとよい。
■ガミースマイルの矯正治療では歯科矯正用アンカースクリューを用いると効果的である。
■ガミースマイルの全体矯正の治療期間は2年程度、通院頻度は1~2か月に一回
■費用の相場は大人の矯正で80~120万円。追加で歯科矯正用アンカースクリューの料金が発生する場合がある。