低コスト、短期間、気になるところだけ治療できる!部分矯正ってどんなもの?
歯列矯正を考えているけれど、費用が高いし、矯正器具を長期間付け続けるのは抵抗がある……といった理由から、なかなか歯列矯正に踏み切れないという人も多いものです。
それなら、低コスト・短期間で歯並びを改善できる「部分矯正」を考えてみませんか?
前歯や一部分の歯だけをピンポイントで治療できる部分矯正は、通常の歯列矯正よりも短い期間で治療が終了し、費用も抑えることができます。
今回は、気になる部分だけを治療できる「部分矯正」について詳しくご紹介します!なんだか最近、前歯のガタツキが以前よりも悪くなってきて心配、、、なんて方には必見です。
部分矯正がおすすめの人は?年齢や注意点は?
「部分矯正」とは、歯並びが気になる部分にだけ矯正器具をつける治療方法です。
出っ歯やすきっ歯など、前歯の歯並びに用いられることが多いですが、前歯に限らず部分的な噛み合わせの治療などにも対応しています。
部分矯正は歯全体に器具をつける通常の歯列矯正(全体矯正)に比べて治療期間が短く、費用も比較的抑えることができるため、全体矯正に抵抗がある人や全体矯正までは必要がない人にとって利用しやすいことが特徴です。
部分矯正に向いている歯並び
- 全体的な歯並びは悪くないけれど一部分の歯並びが悪い
- 前歯だけのちょっとしたデコボコやすき間が気になる
- 過去に歯列矯正をしていたが後戻りしてしまった
- かぶせ物や部分入れ歯を装着するにあたり、部分的に歯を動かす必要がある
部分矯正の効果
全体矯正と比較すると部分的にしか器具を装着しない部分矯正。
そのため仕上がりや効果に不安を感じる人もいますが、歯科医の指示に従って正しく治療を続ければ歯並びやかみ合わせの改善が見込めます。
歯並びや噛み合わせが悪いと、歯と歯が重なり合った部分に汚れがたまり、虫歯や歯周病の原因になります。
虫歯や歯周病で歯が失われてしまうと、健康な歯や歯並び全体まで影響を及ぼしてしまいます。
見た目の問題などで部分矯正を考える人も多いものですが、こうした予防歯科の面から見ても、部分矯正は効果があるといえるでしょう。
また、被せ物や部分入れ歯などの補綴治療の前にあらかじめ部分矯正で傾いた歯を正しい位置に治すことで、歯にかかる力の負担を減らしたり、良い補綴物を装着できるようになります。
部分矯正の年齢制限について
部分矯正治療に年齢制限はありません。歯周組織が健康であればどなたでも治療することが可能です。
特に女性の方で30代あたりから前歯のガタツキがひどくなり始めて部分矯正治療を受診される方が多いようです。
要注意!部分矯正とセラミック矯正は全然違う!?
「最短〇〇日、たった〇〇回の通院によるセラミック矯正」のようなフレーズをインターネットの広告で見たことはありませんか?
同じ矯正という名称でも部分矯正とセラミック矯正は治療法が全く異なります。
部分矯正は自分の歯を動かして並べる歯列矯正なのに対し、セラミック矯正は被せ物で色や形を変えて治す補綴矯正です。
補綴矯正は治療期間が短いという点でのメリットがありますが、必ず歯を削る必要があります。
さらに、歯の位置が悪い場合には神経をとってしまったり抜歯するなどの処置が必要になる場合があるため、歯へのダメージという点でデメリットがあります。
部分矯正とセラミック矯正のどちらかで迷われているのであれば、治療期間も大切ですが将来的なことも考えて慎重に決めましょう。
部分矯正の治療器具別の費用、期間
ライフスタイル、治療をしたい箇所や歯並び、噛み合わせの程度などに合わせて部分矯正で使用する器具や治療法を選択しますが、実際にどのような種類の装置があるのでしょうか?
矯正器具別に費用や治療期間の目安をご紹介します。
(1)ブラケット矯正
費用:15万円〜60万円程度
治療期間:6ヶ月〜1年程度
金属製のブラケットを矯正したい歯の表側に装着し、ワイヤーを交換しながら少しずつ歯を動かす、歯列矯正のなかではごくごく一般的な方法です。
主流なのは丈夫で耐久性のある金属製ブラケットですが、器具が目立ちやすく、特に前歯の治療では抵抗を感じる人も。最近では、セラミック製でできたものや透明で目立ちにくい色のものなど、審美性を重視したブラケットもあります。
また、白いワイヤー(ホワイトワイヤー)と併用することでより目立ちにくい治療が可能になりました。
金属製ブラケットは、15万円程度〜と他の装置と比べて費用が安価です。セラミック製ブラケットは、金属製ブラケットの料金に3万円〜10万円程度プラスされた価格が一般的です。
ブラケットを装着する歯の数や上下顎の両方を部分矯正するかによって料金が変動します。
(2)裏側矯正(舌側矯正)
費用:40万円〜60万円程度
治療期間:6ヶ月〜2年程度
ブラケット矯正のなかに「裏側矯正」と呼ばれる方法があります。
矯正器具を歯の裏側に装着する方法で「見えにくい矯正」として近年、注目を浴びています。歯並びをキレイにしたいけれどブラケットが見えるのが気になるという人に最適です。
歯の裏側にブラケットを装着すると舌が当たりやすくなるので、慣れるまでは違和感があることも。
また、表側に装着するブラケット治療に比べると歯の汚れが見えにくいので、歯磨きがしづらくなることもあります。
歯の裏側に器具を装着するという特性上、表側に装着する方法よりも歯を動かすのに時間がかかります。
費用に関しても、同じ金属製のブラケットを使っても高くなります。
(3)マウスピース型矯正歯科装置
費用:30万円〜60万円程度
治療期間:6ヶ月〜2年程度
歯並びの程度が軽い場合は、マウスピースによる治療も可能です。
自分の歯型に合わせた透明なマウスピースを使用するため目立ちにくいこと、歯磨きをするときやどうしてもマウスピースを見せたくないときなどに取り外しできることが特徴です。
そのため、装置の装着時間により治療の進み具合に差が出やすくなり、治療期間に影響してしまうことも。
歯の動きに合わせてマウスピースを新しくする必要があり、その回数により費用にも若干差が生じます。
(4)歯科矯正用アンカースクリュー
費用:追加料金としてプラス3万円~10万円
治療期間:1年〜2年程度
顎の骨にインプラントと呼ばれる器具(歯科矯正用アンカースクリュー)を埋め込み、他の器具と併用して目的とする歯をしっかりと動かす治療法です。
従来の治療法では難しかった歯並びもインプラント矯正により治療できる範囲が広がりました。
かみ合わせが深くて前歯を大きく動かす場合や大きく倒れこんでしまった奥歯を起こす場合によく使用されます。
インプラントを埋め込むための手術やインプラント自体の費用が追加で発生します。
無くなった歯を補うためのインプラント治療と名称が似ていますが内容は大きく異なり、こちらはあくまでも矯正治療のためのもので治療が終われば取り除きます。
(5)忘れてはいけない!治療費以外にかかる費用
部分矯正を行う際には、通常の歯科検診や虫歯治療、それに加えて歯列矯正が可能かどうかの精密な検査が必要になります。
クリニックによっては、これらの治療費を全て込みで「〇〇万円」と提示しているところもあれば、矯正器具以外の費用は別途必要になる場合などさまざま。
治療の前には必ず提示されている以外の費用についても確認しておきましょう。
治療前:0〜6万円程度
歯列矯正が必要かどうかのカウンセリング費用や検診料、レントゲン撮影やCTで骨格やかみ合わせの検査を行うなど、治療前には数万円の費用が必要です。
最近では初回のカウンセリング費用を無料とするクリニックが増えましたが、カウンセリングの内容やカウンセリング時に必要になる費用があるのかなどを、予約の際に詳しく確認しておくと安心です。
治療後:1万円〜10万円程度
矯正器具を外しても、歯の戻りがないか、日常生活の中で不具合がないかなどをチェックするための定期健診を受けなければなりません。歯が戻らないようにするためのリテーナーと呼ばれる器具の装着が必要になることもあり、治療後の費用は人によってばらつきがあります。
こちらも、矯正器具の費用に含まれているクリニックとそうでないクリニックがあるので、カウンセリング時に必ず確認をとりましょう。
部分矯正のデメリットは?
これまでの歯列矯正につきものだった治療期間の長さや目立つというデメリットが解消される部分矯正。
しかし、歯並びの状態によっては治療ができない場合や、コスパ面で見ると割高になることもあります。
メリットとデメリット、両方をきちんと把握して治療に臨みたいですよね。ここでは、部分矯正のデメリットをご紹介します。
部分矯正が適用されないケースがある
部分矯正のデメリットとして、まずお伝えしたいのが「どんな歯並びにも対応できるわけではない」ということ。
歯並びの悪い一部分だけを治療する場合には適していますが、複雑に歯が交差している場合や噛み合わせが大きくずれているなど、症状によっては部分矯正が向かないこともあります。
また、歯を正しい位置に戻すためには、治療を行う歯が入るスペースが必要です。
しかし、十分なスペースがない場合やスペースを確保するために広範囲の歯列矯正が必要な場合には、部分矯正ではなく全体矯正が必要になることもあります。
全体矯正の方がキレイに仕上がる
限られた範囲だけを治療する部分矯正。
比較的費用を抑えることができるため、「できれば部分矯正で……」と考える人も多いでしょう。
しかし、たとえ一部分の歯を動かしても、全体的な歯並びが悪い場合はかえってバランスが悪くなり、仕上がりが美しくならいこともあります。
部分矯正を行ったことで治療していない部分まで気になりはじめることもあるので、仕上がりの美しさや全体的なバランスを考えると全体矯正のほうが良い場合もあります。
部分矯正で納得のいく仕上がりになるのか、カウンセリング時に歯科医師に十分確認しておくことが重要です。
噛み合わせが改善されるかは微妙
気になる部分だけを治療しても、噛み合わせが改善されるとは限りません。
むしろ一部分の歯だけを動かしたことで他の歯にも影響が出て、結果的に全体のバランスが崩れてしまうこともあります。
部分矯正といえど、大切なのは矯正後の全体的なバランスです。
部分矯正で必ずしも噛み合わせか改善されない場合もあることを把握しておきましょう。
再度歯列矯正が必要になることも……
部分矯正を行った人のなかには、仕上がりに満足できなかったり治療した箇所が後戻りしてしまって、再度歯列矯正を行うハメになった……という人もいます。
そうなると、また高額な費用がかかったり矯正器具をつけ続ける生活が始まって、身体的にも経済的にも負担がかります。「最初から全体矯正にしておけばよかった」と後悔してしまうかもしれません。
まとめ
気になる部分だけを治療できたり、費用を抑えることができるなど、全体的な歯列矯正よりも挑戦しやすく、時間やコスト面での負担が少ない部分矯正。
まずは今の歯並びの状態が部分矯正の適応になるかをかかりつけの歯科医院や矯正専門のクリニックで十分相談してみてくださいね。
Check Point
■部分矯正は歯全体に器具をつける通常の歯列矯正に比べて治療期間が短く、費用も比較的抑えることができるため利用しやすいことが特徴
■部分矯正治療に年齢制限はなく、歯周組織が健康であれば治療可能
■部分矯正の期間は6ヶ月~2年前後
■部分矯正の費用の相場はトータルで15~60万円前後で、全体矯正に比べ低コスト。
■部分矯正は歯並びの悪い一部分だけを治療する場合には適しているが、症状によっては部分矯正が向かないこともある。