矯正中は虫歯になりやすい!予防法やできたときの対処法について矯正専門医が解説!
「矯正治療は虫歯になりやすいと聞くけど、うちの子は大丈夫かな。。。」、「矯正中に虫歯ができてしまったらどうすればいいの?」、「虫歯と矯正の治療は同時にできる?」
そうお悩みではありませんか。
実は、矯正治療中は虫歯になりやすくなってしまうので、ご自身やお子さんの虫歯に関して悩みを抱える方は非常に多いです。
将来のお口の健康を考えて矯正治療をしたのに、虫歯で歯がボロボロではもったいないですよね。
そこで矯正治療で虫歯になりやすい原因や、虫歯ができてしまったときの対処法、予防法について解説していきます!
矯正中に虫歯になりやすいのはなぜ?
矯正治療はどうして虫歯になりやすいといわれているのでしょうか。
矯正治療は虫歯になりやすいのかいくつかの点をふまえてご説明します。
矯正器具に汚れがつきやすい
矯正器具は凹凸があるため、食べカスや歯垢(プラーク)がつきやすく歯磨きが難しくなります。
また、矯正器具の多くは固定式でご自身で取り外しはできないため、歯ブラシが届いていない箇所は長期にわたって汚れがついてしまうことになります。
唾液の自浄作用の低下
唾液には汚れを洗い流す「自浄作用」、虫歯の原因となる酸を薄める「ph緩衝作用」、口の中の細菌の増殖を抑える「抗菌作用」、脱灰した歯を健康な状態に戻そうとする「再石灰化作用」など口の健康には欠かせない役割があります。
しかし、器具があることで唾液が歯の隅々まで行きわたりにくくなるため、これらの作用が十分に発揮されづらくなります。
歯磨きのモチベーションの低下
矯正の治療期間は2年前後はかかり、その間、食事や間食のたびに歯磨きが必要になります。
また、丁寧に時間をかけて行う必要があるため、歯磨きのモチベーションが下がってしまい、サボり気味になってしまう方も少なくありません。
装置に合わせた適切な歯磨きの方法で行い、高い意識をもって継続することが大切になります。
矯正治療前に虫歯がある場合、どうすればよい?
虫歯治療を済ませてからが基本!
矯正治療開始前に虫歯がある場合には、虫歯治療を済ませてから矯正治療を開始するのが基本です。
虫歯の範囲が大きくて歯全体の被せ物にする必要がある場合は、セラミックなどの自費治療となるクラウンは装着せずに、保険適用範囲内のものにとどめて置いた方がよいでしょう。
この段階で装着する被せ物はあくまでも矯正治療する前の歯並びにとって都合の良い形であり、矯正治療後にはうまくが合わない場合があるからです。
矯正治療と同時並行に治療するケースも
ガタツキなどで歯が重なっているところに虫歯ができてしまっているケースは例外で、矯正治療で歯をある程度動かして、虫歯治療をしやすくしてから行う場合があります。
担当する歯科医師と相談して、治療の順番を確認しましょう。
矯正治療中に虫歯ができたときの対処法は?
では、万が一、虫歯になってしまった場合にはどのような対処法となるのでしょうか?
他院で虫歯治療を行うことがほとんど
矯正歯科専門クリニックでは虫歯治療を取り扱っていないところが多いため、かかりつけ医または紹介状先の一般歯科医院で治療を受けることになります。
装置を外す必要がある可能性も
装着した矯正器具の付近に虫歯があると、正確な虫歯治療が行えないため矯正器具を外す必要があります。
歯科医院によっては、装置を再装着する場合に別途で費用が発生することがありますので要確認です。
矯正中の虫歯の予防法
矯正治療中に虫歯にならないようにするには、以下の3つが考えられています。
■虫歯菌を減らす対策
■歯の質の強化
■食べ物の選択と食べ方
これらの点を踏まえて日常生活を送ることで、虫歯の予防につながります。
では、1つずつみていきましょう!
虫歯菌を減らす対策
歯を磨いて虫歯の原因となるプラークを取り除くことがとても大事です。
食べかすはうがいで取り除くことができますが、歯の表面に強くくっついてしまうプラークは歯ブラシを使わないと取れません。
固定式の矯正器具をつけている場合には、食事後は必ず歯磨きをする習慣をつけましょう。
通常の歯ブラシに加え、ブラシの頭が小さいタフトブラシも一緒に使用すると効率よくプラークを取り除くことができます。
また、プラークが赤く染まる染め出し剤を使って、鏡で確認しながら歯磨きをすることで装置に合った磨き方のコツがつかめます。
当院では矯正治療開始前から歯磨き指導を行い、染め出し剤を1本差し上げて自宅でも練習していただいています。
小学生までは親の仕上げ磨きをお願いしています。お子さんだけでは磨くのが難しく汚れが溜まりやすい装置周りや奥歯を重点的に磨きましょう。
さらに、一般歯科医院での定期的な検診により虫歯の発生を抑えることができます。
歯の質の強化
フッ素を利用した予防法があります。
フッ素は「歯の質の強化」、「歯の再石灰化を促進」、「細菌が酸をつくらせにくくする」などの虫歯予防の効果があります。
また、生えて間もない歯はフッ素を歯の表面へ取り込みやすいため、特に有効です。
フッ素の利用方法は様々で組み合わせることでより高い効果が期待できます。
歯磨き粉
毎回の歯磨きにフッ素配合の歯磨き粉を使用します。
現在の薬局では様々なタイプの歯磨き粉が並んでいますよね。
迷われている場合は、担当の歯科医がおすすめする歯磨き粉を購入してみてはいかがでしょうか。
年齢により使用量の目安やフッ素濃度がありますので、確認してから使用するようにしましょう。
フッ素洗口
4歳以降からご家庭でフッ素を含んだ洗口液を用いてブクブクうがいをする方法で、継続して行うことで予防効果が高まります。
幼稚園や小学校で、集団でフッ素洗口を行っているところもあります。
フッ素塗布
高濃度のフッ素を歯に直接塗る方法で、年に数回行います。
1歳半頃からの利用が可能です。
当院の患者様には無料でフッ素塗布を行っています。
食べ物の選択と食べ方
矯正治療中はお菓子の種類と食べ方に注意する必要があります。
特に、お子さんが矯正治療される方は必見です。
お菓子でアメやキャラメルは要注意!!
お砂糖を多く含まれるアメや粘着性のあるガム・キャラメルは虫歯になるリスクを高めるため、極力避けたいものです。
これらのお菓子は食べ終わるのに時間がかかり、器具にくっつきやすいため虫歯菌にエサを与え続けてしまいます。
歯にとって理想のお菓子は、おせんべいやクラッカーがですが、果物やプリン、ゼリーなど歯にくっつきにくいものも良いと思います。
虫歯になりたくないけど、どうしても甘いものを食べたいという方は、キシリトール100%配合のおやつも試してみてはいかがでしょうか?
キシリトールは虫歯の原因菌の活動を弱め、歯の再石灰化を促してくれる効果が期待できます。
歯科医院や通販でチョコレートやラムネ、キャンディーなどの様々な種類のキシリトール100%配合のおやつを購入することができます。
お菓子は決まった時間に規則正しく!
お菓子やジュースをダラダラと食べたり飲んだりしてしまうこともよくありません。
同じ量を食べるにしても、時間を決めて1回で食べ切る場合とダラダラ食べ続ける場合とでは、明らかにダラダラ食べてしまう方が虫歯になるリスクが高いことがわかっています。
ですので、お菓子を食べるのであれば時間を決めて、食べたらすぐに歯ブラシをする習慣をつけましょう。
まとめ
矯正中は確かに虫歯になりやすい環境であるといえますが、今回ご紹介した予防法を実践することで虫歯になるリスクが軽減されます。
また、矯正治療を通して歯磨きやお菓子など日常生活の習慣を改善することで、お子さんやご自身の歯を大切にする習慣が身につき、矯正治療後のお口の健康にも大きくつながるでしょう。
ご心配であれば担当する歯科医師と相談して、治療中も注意深く見てもらうようにしましょう。