後悔や失敗しない矯正歯科治療をするための注意点は?矯正専門の歯科医師が解説!
「矯正は費用や期間がかかるし、失敗したくない」「自分にはどれがあっているんだろう、、、、」
そうお悩みではありませんか。
矯正治療はクリニックによって費用や使用する器具が異なり、ドクターの技術によっても治療結果は大きく異なります。
いざ、治療を受けようと思ってもどうしていいのか悩みを抱えている方も非常に多いものです。
そこで矯正専門の歯科医師が、事前に知っておきたい歯列矯正で後悔しないための注意点について解説していきます!
目次
矯正で後悔や失敗することって?
矯正治療で後悔や失敗した例をブログから抜粋
「矯正 後悔」で検索するとブログや質問サイトで少なからず後悔されている方が一定数いられるようです。
内容を一部紹介すると以下のような治療法や治療結果に対するコメントが見られます。
矯正したらほうれい線が目立つようになってきた、、、
リテーナー装置をさぼったら後戻りが起きてしまった、、、
拡大床を5年以上使っても治らなかった、、、
セラミック矯正(クイック矯正)で歯を削って、今さら後悔、、、
矯正治療で後悔が生じる理由
なぜ、このようなことが起こってしまうのでしょうか?
ひとつに、患者さんに過度な期待を持たせてしまう我々、歯科医院側にも問題があると思います。
例えば「矯正治療で人生が変わる!」、「歯を守るための矯正治療」のようなフレーズをよく目にします。
患者さんには矯正治療によって審美やお口の健康の改善によるプラスの面も気になるところですが、矯正治療によるリスク、費用や長い期間というハードル、想像していた治療結果とのギャップが出てしまう可能性も覚悟しておかなくてはいけません。
これらを担当する歯科医師がしっかりと患者さんにお話して、患者さんが納得してから矯正治療を始められればよいのですが、それぞれのクリニックの技術や知識の差、説明に費やす時間などに違いがあるため結果的に後悔が生じてしまうケースがでてしまうのではないでしょうか。
歯をどのようにどれくらい歯を動かすのか、動かすと唇の位置がどう変化するかなどの細かな治療計画や予測は、同じ矯正をする歯科医師の間でも判断が大きく異なる場合があります。
無理な力や無計画な治療は歯の寿命を縮めたり、歯茎が大きく下がってしまったり、前歯を引っ込め過ぎて老け顔になってしまう結果を招き、かえって治療しないほうが良かったなんてことにもなりかねません。
自分がイメージしていたゴールと大きく異なる上に、費やした治療費や期間なども考えるとさらに精神的なダメージを負ってしまうことも。
このような後悔がないようにするためにも患者さん自身が歯科医師の説明を理解し、意識してクリニックを選ばなくてはいけません。
それでは次にクリニック選びについてご紹介します。
歯列矯正はクリニックの選びが重要!施設は3タイプに分けられる!
「普段通っている歯医者さんで矯正治療しようかな」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
でも、決める前にちょっと待ってください!
同じ「歯科医院」でもそれぞれの特徴があり、矯正治療をしたいという場合には、主に3タイプのクリニックに分かれることを確認しておきましょう!
Check Point
■ 矯正歯科のみを標榜のクリニック(「〇〇矯正歯科」、「〇〇矯正歯科クリニック」)
■ 歯科と矯正歯科を標榜のクリニック(「〇〇歯科矯正歯科」、「〇〇歯科矯正歯科クリニック」)
■ 歯科のみを標榜のクリニック(「〇〇歯科」、「〇〇歯科クリニック」)
矯正治療のおすすめは矯正歯科のみ標榜のクリニック
矯正歯科のみ標榜のクリニックとは?
矯正歯科のみを標榜した、矯正歯科に特化したクリニックです。
「〇〇矯正歯科」、「〇〇矯正歯科クリニック」のクリニック名がこれに該当します。
日本矯正歯科学会の専門医や認定医が常勤のクリニックが多く、予約枠は全て矯正治療用に確保されています。
矯正歯科のみ標榜のクリニックでの矯正治療のメリット
・大学病院の矯正講座に所属し、専門的なトレーニングや教育を受けていた先生が在籍
・日本矯正歯科学会の専門医や認定医の資格を持ち、豊富な症例数
・矯正専門の歯科医師が常勤のため、万が一の装置のトラブルにも迅速に対応
・予約の枠はすべて矯正治療用に確保されているため予約が取りやすい
・同じ担当医による一貫した治療が行われるので安心できる
・矯正に対する専門知識の高い歯科衛生士がいることで、適切な口腔衛生指導や食事指導が行える
・後戻りに対する保証やアフターケアが充実しているところが多い
矯正歯科専門のクリニックのため、矯正に関する設備や環境が整っていることが大きなメリットです。
矯正歯科のみ標榜のクリニックでの矯正治療のデメリット
虫歯、歯周病、入れ歯などの一般治療は対応していない場合がほとんどです。
矯正治療中に他院での通院が必要になる場合があります。
矯正治療を歯科矯正歯科を標榜のクリニックでする場合
歯科矯正歯科のクリニックとは
一般歯科と組み合わせて矯正歯科も標榜に掲げている歯科医院で、近年増えてきました。
「〇〇歯科矯正歯科」、「〇〇歯科矯正歯科クリニック」がこれに該当します。
1つの歯科医院で、矯正治療や虫歯などの治療もできるクリニックです。
歯科矯正歯科クリニックでの矯正治療のメリット
矯正治療だけでなく、虫歯や歯周病などお口の中を総合的にみてもらえます。
通院の手間などを考え、処置は全部同じところが良いと思う方には向いているかもしれません。
歯科矯正歯科クリニックでの矯正治療のデメリット
一見、バランスが取れている「〇〇歯科矯正歯科」ですが、矯正専門の歯科医師が非常勤(月に1~2日程度の勤務)で治療にあたるパターンがよく見られます。
このような場合、運悪く装置が外れてしまったなどのトラブルがあったとしても、矯正専門の歯科医師が不在の日では困ってしまいますよね。
また、非常勤であるため希望日時に矯正治療の予約が取りにくいことや担当する歯科医師が変わって一貫した治療は難しくなってしまうこともよく耳にします。
そのため、矯正治療を開始する前に担当する歯科医師の在籍状況をしっかりと確認する必要があります。
矯正治療を歯科のみ標榜のクリニックでする場合
「〇〇歯科」、「〇〇歯科クリニック」は皆さんがイメージする一般的な歯医者さんです。
一般歯科とも言われ、虫歯・歯周病・入れ歯・インプラントなどの治療をメインに行っています。
名前の通り矯正治療に特化した施設ではないため、矯正治療を取り扱っていないクリニックもあります。
歯科のみ標榜のクリニックでの矯正治療のメリット
普段から行き慣れた所で、長いお付き合いのある先生のもとで受ける矯正治療は安心につながるでしょう。
歯科のみを標榜のクリニックでの矯正治療のデメリット
一般歯科で治療を行う先生の中には、虫歯などの治療だけでなく矯正治療も素晴らしい技術を持った先生もいらっしゃるとは思います。
しかし、矯正治療の技術は6年間の歯科大学を卒業した後に、大学病院の矯正歯科講座に在籍して専門的なトレーニングや教育を受けている矯正専門の歯科医師と比べると差があること否定できません。
一般歯科では床矯正やマウスピース矯正のみしか扱っていないところもあり、これらの治療法が全ての歯並びに最適な治療とは言い難いです。
子供の矯正治療しか対応していないクリニックで治療し、大人の矯正治療が必要になった場合は他院への転院や費用が倍かかってしまうこともあるのでどの範囲まで対応しているのか確認しておくとよいでしょう。
後悔しないために抑えておきたいクリニック選びのポイント
お住いの地域によっては矯正専門のクリニックが近くになかったり、ありすぎて悩ってしまうなど人それぞれでしょう。
そこで私が考えるいくつかの参考になる基準をご案内します。
これらをトータルで考えてクリニックを決定すると後悔することが少なくなるでしょう。
矯正専門の歯科医師が常勤
装置のトラブルや予約のとりやすさを考えると、矯正専門の歯科医師が常勤であればベターです。
ホームページなどで日本矯正歯科学会の専門医や認定医の資格を有していることも確認しておいても良いでしょう。
費用と期間の説明が明確
抜歯や非抜歯、装置のメリットやデメリットなどのリスクの説明をしっかりと行ってもらえるところの方が、通院中の心配事も軽減されます。
きちんと説明してくれるクリニックかを相談時に色々と質問し確認してみましょう。
担当する歯科医師との相性
矯正治療の期間の平均は2年間、その後も後戻り防止のためのメンテナンスなども含めると、担当する歯科医師とは長いお付き合いになります。
矯正相談の際に担当する歯科医師と自分があっているのかどうかも通院中のストレスの軽減につながります。
また、患者さん自身がどういう歯並びや口元にしたいのかを聞き入れてくれるかも確認してみましょう。
家から近場で通院しやすい
矯正治療の場合24回~30回くらい通う覚悟が必要です。
評判の良くて腕のいい先生のところで治療を受けたいと思うのは誰しも同じでが、あまり遠いところだと気がめいってしまいます。
特に子供の場合は通院のしやすさも考慮にいれるべきでしょう。
アフターフォロー
矯正治療後に後戻りが起こるリスクがあります。
万が一、後戻りに対してしまった場合にしっかりとフォローしてくれるクリニックかを確認しましょう。
2年間の後戻り保証しているクリニックも多いようです。
日本矯正歯科学会の認定医とは?
矯正治療をご検討の方の中には認定医という制度をあまりご存知がない方も多いようです。
認定医の有無は一つの判断基準になりますので、認定医について簡単に説明していきます。
認定医は矯正治療を行う歯科医師の2割
現在、歯科医師は10万人いるとされていますがそのなかでも矯正治療を行う歯科医師は約2万とされ、およそ5人に1人という統計データーが出ています。
さらに、日本で最大の会員数をもつ日本矯正歯科学会が設けている"認定医"の資格を有している者はわずかに約3000人で、矯正治療を行う2万人の歯科医師の中でも2割程度しかいません。
認定医はここが違う
認定医は誰でも簡単にとれるといううわけではなく、以下の条件を満たして初めて認定医の取得に向けた試験を受けることになります。
公益社団法人 日本矯正歯科学会 認定医制度規則
第4 条 認定医の資格を得ようとする者は、学会に申請し、本規則第7 章に定める学会認定医委員会の審査に合格しなけ
ればならない。第5 条 認定医の申請は、次の各号を満たす者に限られる。
(1) 歯科医師免許を有する者。
(2) 歯科医師免許取得後、引き続き5 年以上の学会会員である者。
(3) 学会指定研修機関における矯正歯科基本研修(以下「基本研修」という)修了の後、その期間を含めて、5年以上にわたり、矯正歯科臨床研修(以下「臨床研修」という)を修了した者。または、同等の学識、技術、経験を有すると判断される者。
(4) 学会の認めた刊行物に矯正歯科臨床に関連する論文を発表した者。
(5) 学会倫理規程を遵守する者。第6 条 学会は、審査に合格し、登録した者に認定医資格証を交付する。
引用:公益社団法人 日本矯正歯科学会 認定医制度規則
つまり、歯科医師免許を取得後に日本矯正歯科学会で5年以上会員で、学会が指定した研修機関(主に大学病院の矯正学講座)に所属して専門的な教育を受け、矯正歯科臨床に関連する論文を発表してやっと認定医の受験資格を得られます。
そして、10症例の書類提出や2症例の歯型模型の展示、口頭での試験を受け、これらに合格した者がはじめて日本矯正歯科学会の認定医と名乗ることができるのです。
マウスピース矯正治療、床矯正治療、部分矯正治療などの症例は対象外で、ブラケット装置を全ての歯につけて治す技術が必要となるため矯正治療を専門にやられてない先生にはかなりのハードルとなります。
矯正の認定医の探し方
ホームページの経歴に認定医であれば記載されていますが、直接相談時に聞いてみてもよいかもしれません。
下記に認定医の先生方の名簿がありますので、お近くのところで何件か相談されてみてはいかがでしょうか?
矯正治療でありがちな注意すべき点
そのニーズにこたえるように広告する歯科医院が増えています。
ですが、本当に大丈夫ですか?
安易に決めて、最終的に後悔するのはあなたやあなたのお子さん自身です。
以下のような項目だけで一つの医院に絞らず、他のクリニックにも何件か相談してから決めてみてはいかがでしょうか?
矯正治療費が安い
本当に良心的なクリニックであれば、患者さんにとって経済的な負担が抑えられてとてもいいことだと思いますが、
治療費を安くする代わりに患者さんにとってその分デメリットが生じてしまう可能性も考えてみてください。
低価格で患者さんをたくさん集めるあまりに、一人ひとりに費やす治療時間や説明の時間が十分に足りていないケースがあります。
費用ももちろん大事ですが、安心して治療を受けることも後悔を減らす一つではないでしょうか。
行き過ぎた非抜歯矯正治療
健康な歯を抜くことは誰しもが避けたいと思いますが、治療の必要上、抜歯が必要な歯並びはあります。
クリニックによっては非抜歯のみを推奨するところもありますが、無理に治すことでかえってよくない結果を招くことがあります。
他院での矯正相談を行ったうえで、決めても遅くありませんので治療方針に不安であれば何件か比較してみましょう。
セラミック矯正、クイック矯正
歯並びを短期間できれいに治したいというのは、患者さんも歯科医師も同じ願いです。
ですが、安易にセラミック矯正(クイック矯正)を受けることはおススメできません。
通常の歯列矯正と異なり、セラミック矯正は歯を大きく削り、必要であれば神経までとって被せ物を装着します。
将来的な歯の寿命や、被せ物の作り直しやメンテナンスなど長い目で考えたうえで、決断しましょう。
セラミック矯正は矯正歯科ではなく、審美歯科の分野ですので一般歯科医院での治療となります。