子供の成長に合わせた矯正治療をするために必要な事
皆さんご存知のように同じ年齢でも成長が早い子もいれば、ゆっくりな子もいますよね。
小学生の時は小さかったのに、中学生になってからクラスの背の順で後ろの方になったなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
子供の矯正治療では顎の骨の成長を促したり抑えたりすることもあり、矯正治療を行う上で成長状態を把握することは重要で治療の開始時期、装置の種類、装置装着のタイミングにも影響していきます。
さらに、今の成長状態を把握することでいつ頃に下顎がグーンと成長するかをある程度予測することができます。
今回は「子供の成長に合わせた矯正治療をするために必要な事」を簡単にご説明します。
成長状態を知る手がかり?
実際に何を参考に成長状態を知るかというと主に以下の4つが挙げられます。
・身長
・歯齢(歯年齢)
・二次性徴年齢
・骨年齢
これらについてそれぞれ簡単に説明していきましょう。
身長について
身長はご存知の通り、同じ年齢の子でも身長に大きなばらつきがあります。遺伝も関連しており、
・男の子の将来の身長=(父の身長+母の身長+13)÷2+2
・女の子の将来の身長=(父の身長+母の身長-13)÷2+2
の計算式もあります。あくまでも参考程度ですけど、、、
特に思春期には身長のグーンと伸びる時期があり、男の子の場合13歳前後、女の子の場合11歳前後に訪れます。
体の身長が伸びと下顎の成長のメカニズムが似ていることからそれぞれの成長ピークのタイミングは近い時期に起こると考えられているため、身長がぐんぐん伸びている子はこれか
ら下顎も成長してくることが予想されます。
下顎前突症(受け口)や上顎前突症(出っ歯)などの上顎と下顎の位置関係がアンバランスな方の治療では身長は重要なサインです。
歯齢(歯年齢)について
歯の生え具合やレントゲン写真で歯の形成状態から口の中の年齢を評価します。
第一大臼歯は6歳ごろに生えてくるため6歳臼歯と呼ぶこともありますが、実際には9歳ごろに生えてくる人もいるくらい、歯の年齢も実際の年齢とは差が出てしまうことは珍しくありません。
歯の生え変わりの状況によって、使用できる装置が異なってくるためこのようなレントゲンを撮影する必要があります。
二次性徴年齢について
思春期に起こる体の変化が今の体の成長の段階を教えてくれるサインにもなります。
男の子なら声変わり、女の子なら初潮の開始時期が参考になります。
例えば、初潮の平均は12.3歳で身長の伸びのピークから1年~1年半過ぎた時期に起こると考えられています。
身長と下顎の成長のピークがだいたい近い時期に起こることから初潮が生じた場合、下顎の成長のピークも過ぎたということがわかります。
これは下顎前突症(受け口)の治療や抜歯矯正の治療を行う上で重要な判断材料になる場合があります。
そのため、矯正相談の問診票にも声変わりや初潮の有無を記載する項目が基本的にはあります。
骨年齢について
特に驚かれるのが、手のレントゲン写真を撮ることです。
これは骨年齢を知るために行います。
撮影が簡単であり被爆量が比較的少ないことや、多くの骨から構成されていることなどから子供の矯正治療での精密検査時に基本的に行います。
それぞれの骨が成熟する順番があり、これらを参考にして骨年齢を評価します。
上の手のレントゲン写真画像で親指の根本近くにあるオレンジで囲った丸い骨は「拇指尺側種子骨」といい、身長がグーンと伸びる前にポツンと出現するため、身長の伸びるタイミングや下顎の成長を予測する上で重要なサインとなります。
手のレントゲン写真以外にも、側貌セファロ(横顔のレントゲン写真)に写る頸椎を参考にする先生もいます。
子供の矯正治療の病院選び
子供の矯正の治療計画を立てる上でこれらを参考にしていきますが、実際のところ成長には個人差もあり、予想通りにいかないことも多々あります。
しかし、ある程度の傾向を把握して将来を予測することは治療計画の変更を少なくする上でも重要になってきます。
そのため、より安全・安心な矯正治療を受けるのであればこのような設備や環境が整った矯正専門のクリニックで受診されることをおススメします。