大人のすきっ歯の原因や治療について矯正歯科専門の医師が解説!

歯と歯に隙間があるすきっ歯。

歯が生え変わる子供のときは気にならなかったすきっ歯も、大人になってから意識し始めた方も多いのではないでしょうか?
すきっ歯は専門用語で「空隙歯列」、上の前歯の真ん中にすきっ歯がある場合は「正中離開」と呼ぶ場合もあり、れっきとした悪い歯並びの1種です。

この記事では矯正歯科専門の歯科医師から見たすきっ歯の原因や弊害、治療について解説します。

すきっ歯の印象


すきっ歯に対してどんなイメージを持ちますか?

フランスではすきっ歯は「幸運の歯」「美人の象徴」と捉えられているそうです。

すきっ歯は笑うときに歯と歯の隙間から幸せが入ってくる、口元の個性が出るチャームポイントとしてあえて治さない海外セレブの方もいます。

一方で、日本ではすきっ歯に対して「まぬけ」、「子供っぽい」などマイナスなイメージの意見が多いようです。
また中国ではすきっ歯は「隙間から幸せが逃げていく」という、フランスとは真逆のイメージだとか。

海外では「ドラキュラの歯」のと呼ばれる八重歯も、日本では「かわいい」と言われるようにお国柄や文化によって考え方が180度異なるのは興味深いですね。

 

すきっ歯の原因

日本人の不正咬合(悪い歯並び)の12.4%がすきっ歯に該当すると言われています。
ではどのようなことが原因ですきっ歯を引き起こしているのか、先天的な理由と後天的な理由の2つに分けて見てみましょう。
あなたのすきっ歯の原因もどれかに該当しているはずです。

先天的な理由

 

■遺伝


日本人に多い八重歯やデコボコの歯並びは、顎が小さい・歯が大きいことできれいに並ぶためのスペースが足りなくなってしまうことが大きな原因と言われています。
一方、すきっ歯はその逆で、顎が大きい場合や歯が全体的に小さいことによりスペースが余ってしまうことが原因です。
顎や歯の大きさは遺伝と大きく関係しています。

 

■矮小歯


矮小歯とは通常の歯の大きさに比べて、明らか小さい状態の歯のことを指します。
特に上顎の前から2番目の歯によく見られ、これにより前歯に隙間ができやすくなります。

 

■埋伏過剰歯や先天性欠如


歯と歯の間に「過剰歯」という余計な歯が存在し、すきっ歯になってしまうことがあります。
過剰歯が顎の骨の深い位置にある場合、大学病院や総合病院の口腔外科で抜歯をする必要があります。

また逆に、本来あるべき歯が欠損していることにより、その分のすき間が埋まらずにすきっ歯になってしまうということも考えられます。
歯医者さんの検診で確認してもらいましょう。

 

■上唇小帯


上の前歯の間に上唇小帯という筋が入り込んでしまうために隙間ができてしまうことがあります。
これも過剰歯と同様に、大学病院や総合病院の口腔外科での処置をおすすめします。

 

後天的な理由

■舌癖


舌の筋力が弱いと、本来のあるべき位置(舌は基本的には口蓋にくっついている)よりも低い位置になりお食事やツバを飲み込むたびに歯を前に押してしまいます。
舌のトレーニングや舌の正しい位置を意識しながら生活することで改善が見込めます。

 

■口呼吸


口まわりの筋力が弱く、普段からお口がポカンと空いている場合は歯が外側に傾きやすくなります。
舌の癖と同様にトレーニングや日常生活での意識づけが必要です。

 

■強く噛み締める癖や必要以上にかみ合わせの当たりが強い


物事に集中しているときに無意識に強くかみしめてしまう癖があったり、上下の前歯の当たりが強い場合は上の前歯が徐々に外側に傾き始めて隙間ができてしまう場合があります。歯医者さんの検診で前歯のかみ合わせをチェックしてもらいましょう。

 

■歯周病や加齢

身体的なリスク

歯周病や加齢により、歯の土台となる顎の骨や歯ぐきがやせてくることで、歯が様々な方向に傾きやすくなります。
いままで気にならなかったのに最近隙間が目立ってきたなんて方は要注意です。
放置することでさらに悪化する場合がありますので、まずは歯科検診で見てもらいましょう。

 

■歯科医院で歯を抜いたまま放置


歯を抜いた箇所に差し歯などの補綴物を入れないで長期間放置してしまうと、歯列全体に隙間ができてしまうことがあります。

 

すきっ歯の弊害

すきっ歯は見た目もそうですが実は思わぬ弊害を気づかぬうちに引き起こしてしまうリスクがあります。

どのような弊害のリスクがあるのでしょうか?

 

歯周病や虫歯


隙間に汚れが詰まることで、細菌が繁殖してお口のトラブルにつながります。
デンタルフロスなどを使用するケアが通常の方よりも必要になります。
また、物が歯と歯の間に詰まってしまうと見た目にも大きなデメリットがあります。

 

発音が悪くなる


前歯のすきっ歯の場合、歯と歯の間から空気が漏れ出てしまうことでサ行の発音がしにくくなるが場合があります。
これにより、大事なスピーチや仕事に支障が出てしまうことも考えられます。

 

歯並び全体が悪くなる


奥歯のすきっ歯を放置しておくことで、隣の歯が隙間のある方へ倒れこんでしまい、全体の噛み合わせまでもが悪化してしまうことがあります。

 

全身の健康


悪い歯並びは、お口だけでなく全身にまで影響します。
物を細かくかみ砕けないことによる胃や腸への負担や、左右の噛み合わせのバランスが悪いことで姿勢や肩こりにまで影響する場合があります。

 

すきっ歯の治療と費用

すきっぱの治療は大きく分けて矯正歯科治療によるものと、補綴歯科治療によるものの2つに分かれます。
それぞれのメリットやデメリットを見てみましょう。

 

すきっ歯の矯正歯科治療


矯正治療は健康な歯を削らずに動かすことで歯並びをきれいにするため、歯へのダメージが少ないというメリットがあります。
治療法は「部分矯正」「全体矯正」があり、すきっ歯だけでなく全体の噛み合わせも整える必要があるようであれば全体矯正が適応となります。

一方で、部分矯正はすきっ歯以外の問題がないことが条件など適応される範囲に限りがありますが、適応範囲であれば比較的リーズナブルな料金で治療を受けられます。
矯正歯科治療のデメリットとして、治療期間が半年~2年と長くなってしまうこと、矯正器具がついている間の違和感や痛みが挙げられます。

矯正歯科治療の相場として全体矯正は60~150万円、部分矯正は15~60万円です。
ご自身の歯を動かしてすきっ歯を治したいという方の場合、まずは矯正専門のクリニックでご相談されてみてはいかがでしょうか?

 

すきっ歯の補綴歯科治療

 


すきっ歯の補綴歯科治療は歯科材料を使って、隙間を埋める治療となり大きく3つに分かれます。

1つ目は健康な歯をほとんど削らずに白いプラスティックのような材質のレジンを歯の周りに盛り付ける「ダイレクトボンディング」
歯を削らない、即日でできるというメリットがある一方で、材質的にコーヒーや紅茶などの着色料に染まりやすく、すぐに変色してしまうことが難点です。また、強い衝撃が加わると外れたり欠けてしまうことがあります。
自費治療の場合、5万円前後が相場とされています。

 

2つ目は歯の表面を削って、薄いセラミックの板を歯に張り付ける「ラミネートべニア」です。
前歯の形が小さいことによるすきっ歯の場合にはラミネートべニアが適応になります。
デメリットとして薄い材質のため、強度を求められる奥歯などの箇所には向いていません。
歯1本につき10万円前後が相場とされています。

 

3つ目は歯を全体的に削り、かぶせ物をする「クラウン」があります。よく差し歯とも呼びますが、ダイレクトボンディングやラミネートべニアと比べると強度があり、変色しにくいことがメリットです。一方で健康な歯を削る量が多いこと、歯の傾きが強いと神経まで取る処置が必要になることもあるので歯科医師の説明をしっかりと聞いてから治療を受けるようにしましょう。使用する材質により異なりますが、歯1本につき8~15万円前後が相場とされています。

 

まとめ


国によって印象の異なるすきっ歯。
海外セレブもあえて治さないということもあり、もしかしたら日本でもすきっ歯に対するイメージが大きく変わってくるかもしれません。
しかし、すきっ歯であることによる将来的なリスクを考えると治療を選択することが賢明な判断といえるのではないでしょうか?

 

Check Point

■すきっ歯の印象は国によって様々。個性や幸運のイメージとして親しんでいる国もある。

■すきっ歯は遺伝や日常生活の癖が関係している。

■すきっ歯は、お口のトラブルや発音、体の不調に影響する場合がある。

■すきっ歯の治療は矯正歯科治療と補綴歯科治療の2つに分けられる。

■すきっ歯の矯正治療期間は半年~2年前後、費用の相場は60~150万円

 

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