永久歯が生えない!?【その2】萌出遅延・埋伏歯などの萌出障害の原因や治療法について徹底解説!

永久歯が生えないことに関して、前回は永久歯が足らない「先天性欠如」の原因や治療法について解説しました。

今回は永久歯があるにも関わらず、永久歯が生えてこない「萌出遅延」と「埋伏」について解説します。

お子さんの永久歯が生えてこないことでご心配の方は、お読みください。

 

 

歯が生えない原因は「萌出遅延」や「埋伏」!?

何かしらの原因によって永久歯が生えてこれない環境であると、乳歯がしばらく抜けなかったり、乳歯が抜けても下にある永久歯が見えてこないことがあります。

乳歯から永久歯へと多くの歯が交換する混合歯列期(6~12歳前後)は、歯の生え変わりに異常が起こりやすい時期です。

平均的な歯の生え変わり時期より遅れて歯が生えてくる状態を「萌出遅延」と呼び、正常な歯の生え変わり時期を大幅に過ぎても、歯茎の外に歯が生えてこない歯を「埋伏歯」と呼びます。

この「萌出遅延」と「埋伏歯」の厳密な区別は難しいですが、どちらも永久歯が生えにくい状態になっており基本的に対処方法は同じです。

もし、歯の生え変わりに異常がある場合、その歯だけにとどまらず歯並び全体への影響が出てしまうため、早期に発見し、治療を行うことが非常に重要になってきます。

「萌出遅延」は上顎の中切歯(前から1番目)や犬歯(前から3番目)など、比較的目立ちやすいところに起こりやすいことがわかっています。

しかし、歯の生え変わりの早い子と遅い子では2年前後の差がありますので単純に歯の生え変わりが遅いだけなのか、それとも問題があるのかは

学校の歯科検診だけで正確に判断することは難しいといえます。

そのため、問題があると予想される場合には歯科医院でレントゲン撮影を行い、歯の位置・成長状態や反対側の歯との生え変わりの差を確認する必要があります。

当院では永久歯がなかなか生えてこない場合、小学校2~3年生までに一度レントゲン撮影による確認をおすすめしております。

 

なぜ歯が生えない!?「萌出遅延」や「埋伏」の原因について

歯が生えてこない原因は様々です。それぞれみていきましょう。

 

全身的な原因

鎖骨頭蓋骨異形成症、大理石病、クル病などの全身疾患によって、歯が生え変わりが行われにくい状態となります。

 

位置の異常

最も多くみられる永久歯が生えてこない原因です。

永久歯のもととなる「歯胚」の位置や方向に異常があることで、本来生えるべき方向に生えてこれず、生え変わりが遅れてしまったり埋もれたままの状態になります。

 

生える隙間が不足


永久歯が生える隙間が足りないことで、隣の歯に引っかかってしまい生えてこない場合や変な方向に生えてしまう原因になります。

 

厚い歯茎

永久歯が生えようとしているにも関わらず、固い・厚い歯肉に覆われることで外に出れない場合があります。

その場合には歯肉の切開または切除し、永久歯が生えやすい環境をつくる必要があります。

 

過剰歯や歯牙腫の存在

永久歯が生えようとする経路に余剰な歯があるために、永久歯が生えてくることを邪魔してしまいます。

口腔外科での抜歯や摘出が必要になります。

 

嚢胞(のうほう)の形成

嚢胞とは体の中に生じた病的な袋状のもので、顎の骨の中にできてしまうと永久歯の生え変わりを妨げたり生える向きを変えてしまう場合があります。

口腔外科での処置が必要になります。

 

乳歯の虫歯・外傷・早期喪失

永久歯が生えてくる際に、乳歯の根が溶けて短くなり、やがて抜け落ちるのが通常の歯の生え変わりでみられる現象です。

乳歯の外傷や虫歯によって神経が死んでしまうと乳歯の根の吸収が遅れてしまいます。

また、乳歯の根の周りに病巣ができてしまっても、生え変わりが遅れたり、病巣を避けるように永久歯が生えようとします。

早く乳歯が抜けてしまった場合、抜けた穴に骨ができて蓋をされてしまい歯の生え変わりが遅れてしまうことがあります。

 

歯の骨性癒着(アンキローシス)

歯と骨の境目が無くなり、くっついてしまうことで歯が動かない状態になります。

 

どんな場合に永久歯の「萌出遅延」や「埋伏」を疑う?

以下に該当する方は、永久歯の萌出遅延や埋伏の可能性がある方です。

一度、歯科医院で確認をしていただくとよいかもしれません。

 

乳歯がいつまでも残っている

歯の生え変わりはある程度バラツキがあるため、一概に何歳までに乳歯が抜けてないといけないというような明確な目安はありませんが、

明らかに乳歯が本来抜けるべき時期にもかかわらず、グラグラと動揺せずに残っている場合は疑ってみましょう。

 

歯の生え変わりに明らかな左右差がある

反対側と比べて歯の生え変わりが明らかに遅れており半年以上たっても変化がない場合は疑ってみましょう。

 

歯の生え変わりの順番が異なる

歯の生え変わる順番はある程度決まっており、明らかに順番が違う場合は問題がある可能性があります。

 

歯が生えてこない状態を放置した場合

では、歯が生えてこない状態をそのままにしていた場合に起こりうる影響についてご説明します。

 

歯並び全体への影響

乳歯が抜けても永久歯が生えてこない場合、その隙間に向かって隣の歯が倒れこんだり、向かい合う歯が伸びてきて歯並び全体が崩れてしまうことにつながります。

 

埋まっている歯が隣の歯の根を溶かす

位置がおかしな方向を向いている永久歯の場合、隣の歯の根にぶつかって溶かしながら移動する場合があります。

痛みなどが出ることはなく、無症状で進行しますので気付いてからは手遅れという状態になってしまう可能性があります。

 

骨性癒着のリスクが高まる

顎の骨の中に埋まっている状態が続くと、先ほどもご紹介した歯と骨がくっついて動かなくなる「骨性癒着(アンキローシス)」という状態になります。

こうなってしまうと、永久歯を生やすことが難しくなり抜歯の対象になるリスクが高くなります。

 

歯が生えてこない「萌出遅延」や「埋伏」の治療法

永久歯が生えてこない原因を調べ、その原因を取り除いて生えやすい環境を作ってあげる必要があります。

例えば、永久歯の生える経路に障害物がある場合には、その障害物を取り除いてあげる必要がありますし、方向に異常がある場合には正しい方向へ修正して導いてあげる必要があります。

そのため、原因や処置内容によって「矯正治療」「外科治療」が必要となります。

「矯正治療」では歯列を拡大して永久歯が生える隙間をつくり、歯列内に歯を誘導させます。

「外科治療」では歯茎の切開や開窓を行います。

永久歯の向きが悪く、奥に位置している場合には「矯正治療」と「外科治療」を組み合わせた開窓牽引という処置が必要になります。

また、隣の歯へ悪影響を及ぼす可能性がある場合、抜歯の選択もあり得ます。

※矯正治療で、前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)は保険診療の対象となります。

対処が遅くなってしまうと抜歯が選択肢になる確率が高くなりますので、早期に発見して計画的な治療を受けることが好ましいといえます。

 

まとめ

歯の生え変わりには個体差あるため、お子さんの歯の生え変わりの状況について判断しづらく、不安に感じている方もいるでしょう。

しかし、なにも知らない状態で放置することは危険ですので「萌出遅延」や「埋伏」が疑われるようでしたら、歯医者さんのレントゲン写真で確認してもらいましょう。

 

 

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